基礎研WEB政治経済学用語事典

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 科学的管理法

 科学的管理法(scientific management)とは、アメリカ人機械技師のテイラー(Taylor, Frederic W.)が20世紀初頭に考案した工場管理のシステムおよびその思想のことで、テイラー・システムともよばれる。科学的管理法とは、一般的には諸科学の科学的方法を利用して管理を行なうことを意味する。しかし、この言葉は、主にテイラーの考案した管理システムである「課業管理」(task management)を意味するものとして、20世紀初頭のアメリカおよび日本も含めた多くの国々に普及した。
 
 テイラーは、それまで個人任せ、彼の言葉では「成り行き任せ(drifting)」であった管理を、科学的アプローチに基づくシステム(制度)に置きかえて、合理的で能率的な生産を可能にしようとした。科学的管理法は、作業の時間研究と動作研究を通じた課業の設定とその実施のシステムであり、計画に基づく近代的管理システムである。しかしながら、計画職能と作業職能の分離、すなわち計画職能の担い手は管理者であるというその根本原理が、科学的管理法は労働強化システムであるとの厳しい批判を生み出してきた。
 
 

(1)フレデリックW.テイラー/上野陽一訳・編『科学的管理法<新版>』産業能率短期大学出版部、1969年。
                                       (廣瀬幹好)