基礎研WEB政治経済学用語事典

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多国籍企業
 多国籍企業

 国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、2 カ国、ないしそれ以上の国々において資産を 支配する企業である。通常は、複数の国にまたがり、工場、販売部門、事務所などをもつ ことから、事業そのものの拠点を海外にもつ。多国籍企業は、原材料の調達や生産をコス トの安い国や地域で行い、生産物についてはできるだけ高く売れる場所で販売する。この ような利潤獲得活動のもとで、投資の受け入れ先は、税収や雇用の増加、技術移転などの 恩恵を享受できるという利点もあるが、その一方で、環境破壊およびそれにもとづく労働 者の健康被害といった負の影響も被る。例えば、アグリビジネスや水産業、鉄鋼業やアル ミ業などの多国籍企業が、途上国の資源を過剰利用するなか、森林や海辺の生態系を破壊 したり、鉱業開発に伴う廃棄物問題を引き起こしたりしている。また、多国籍企業が先進 国の厳しい環境基準を避けるために、汚染集約的な生産工程や施設を途上国に移転し操業 した結果、そこで新たな公害問題を発生させるといった公害輸出の問題も起きている。