基礎研WEB政治経済学用語事典

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 配当

 何らかの事業によって獲得した利益を利害関係者に分配することを配当という。とりわけ株式会社などの営利企業の利益を株主に分配することを指す。配当の金額を株価で除した指標を配当利回りという。
 
 法律上、利益は会社の所有者、株式会社の場合は株主のものであるが、配当の平準化政策や内部留保への組み込みなどで、利益の一部しか株主への配当に回されないことが多い。利益のうち配当の占める割合を配当性向と呼ぶ。「無い袖は振れない」と言われるように配当の金額は利益の範囲内で決まるはずのものであるが、従来の日本では、その年にいくら利益を獲得したかに関係なく、1株あたり配当額を固定して据え置いたままの会社も数多く存在した。この場合は、損失を出した年にも配当が行われることになる。利益の裏付けのない配当は、自己資本を食い潰すかたちで行われるため、蛸足配当と呼ばれる。
 
 2006年の会社法施行以降は、従来の「利益配当」は、利益分配と資本の払い戻しを内包とした「剰余金の配当」と言い換えられるようになった。これは、その年だけの利益を配当原資とするのではなく、過去の蓄積部分も原資に加わっていることを意味している。また、従来は年2回しか配当できなかったが、分配可能な剰余金の金額の範囲であれば年に何度でも配当を行うことが可能になった。配当は理論株価を算定する際に基礎となる数値でもあり、配当原資の範囲が広がり配当の回数が増えることは、株主の将来現金収入の増加として、理論株価の上昇にもつながる。
                                       (梶原太一)