基礎研WEB政治経済学用語事典

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 株価

 株価とは、証券取引所上場している株式会社の株式に付された価格のことである。証券取引所において、投資家が株価の値上がりによって獲得した利益は、キャピタル・ゲインと呼ばれる。株式市場全体の動向や国民経済全体の動向を知るために、日経平均株価や東証株価指数などの株価指標として利用されることもある。
 
 合理的な投資家は、株式投資を行う際に、現在の株価が理論株価(内在価値)に比べて割安か割高であるかを判断して、割安であれば買い、割高であれば売るという行動をとると考えられる。したがって、証券アナリストの投資判断は、株価の割安・割高をめぐる分析が中心を占めている。この理論株価の算出をめぐっては、様々な株価算定モデルが存在するが、代表的なものは配当割引モデル(dividend discount model, DDM)である。配当割引モデルにおいて、理論株価は、「その株式を保有することで得られる現金収入」と一致するとみなされるため、その株式を保有することで得られる各年度の配当および株式の処分価格を市場平均の利子率で現在価値に割引いた金額が、理論株価となる。
 
 現実の株価は、長期的もしくは完全に効率的な競争市場の下では、裁定取引の存在により理論株価に収束すると考えられている。したがって、株式時価総額=企業価値評価額と考えるとすれば、企業価値の高い企業により多くの資金が流入するという点で、効率的な証券市場で成立した株価は、各企業間の効率的な資源配分機能を果たすためのシグナルとなる。しかし、現実の株価の形成においては、市場参加者による将来の株価上昇期待、もしくは株価下落期待が大きな価格変動要因となっており、時として理論株価に比べてあまりにも割高な株価が形成される株式バブルや、あまりにも割安な株価が形成される株式クラッシュなどの現象が引き起こされることも多い。
 
 

(1)日本証券アナリスト協会編『証券投資論[第3版]』日本経済新聞社、1998年、第6章。
(2)野中郁江『現代会計制度の構図』大月書店、2005年、第7章。
                                       (梶原太一)