基礎研WEB政治経済学用語事典

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 上場

 企業などが発行する有価証券について、証券取引所が自らの市場で売買取引を行うことを認めることを上場(listing)という。上場という言葉は、多くの場合、株式会社が証券取引所に株式を公開することを指し、上場した株式会社は上場企業または株式公開会社と呼ばれる。上場することによって、社会に対しての知名度や信頼感、ブランドイメージの向上、人材確保の優位といったメリットがある。また、株主や経営者にとっては上場によって創業者利得を獲得することが可能となる。ベンチャー企業などでは、しばしば、上場時の創業者利得によって莫大な富を獲得したということが社会的に話題となる。
 
 他方、上場企業となることによって、発行会社は大きな社会的責任を負うことになる。証券市場という衆目の監視下におかれた社会の公器として、情報公開や法令遵守、株主や従業員などのステークホルダーへの配慮など、一層の社会的役割が求められるようになる。近年の日本企業では、証券市場の声である株価とその上昇を意識した株価至上主義経営が広がったことにより、株主・経営者を重視し他のステークホルダーを軽視した短期的・刹那的な企業経営に陥っているといった批判を呼び起こしている。
 
 

(1)杉江雅彦監『証券論15講』晃洋書房、2003年、第5章。
                                       (梶原太一)